審判
ライン


リストマーク 審判クリニック 2003.11.25

11月14〜16日 審判を始めて24年、今まで受けた十数回の講習会は全て1日のみ、泊まり込みでのものは初めて。会場は静岡県中伊豆にある温泉付きのスポーツ施設(野村監督で有名になった、シダックス所有)。

今回の楽しみは、米国に2つある審判学校のひとつ、ジム・エバンス審判学校(以後JEUS)のOBでインストラクター、大リーグの審判を目指して現在マイナーリーグで活躍中の若手3氏(平林、藤原、神谷)が講師であること。平林君は私が以前所属していた協会の後輩、マイナーリーグからパ・リーグで活躍、大リーグの夢をあきらめきれず今年からあらためて挑戦中。

初日は夕方集合、食事のあと講義。球審、塁審、フォーメーション(2,3,4人制)の基本。

【球審】まず、大リーグはなぜ打者と捕手の間から見るのか(スロットルポジション)。米国は、高低を重視しているらしい。なぜか、球場の中で高低が一番確実に見分けられるのは両軍ベンチ。内、外角がいい加減とは言わないが、高低を正しく、安定した判定する球審が評価される。その高低を判定するには、正面から見るより、少しでも横から見たほうが正しく判定出来ることは理に適っている。日本の球審が真ん中で見る理由は、日本の投手は内、外角の出し入れが激しい野球になっているために中央から両方を見るためらしい。

球審で大切なことは、内、外角の低めを捕球するミットが確認出来る位置に構えることと、球筋はミットに入るまで絶対に頭は動かさず、目だけで追うこと。

【塁審】統計によると、1試合のアウトは通常、プロなら54(後攻が勝てば51)、草野球なら42(同39)あるが、内野ゴロによる1塁でのフォースアウが42パーセントらしい。いきおい1塁のプレーに時間を割く。以前から、1塁手が送球を捕る場合、目で確認する方法と、音で確認する方法があるが、JEUSでは音派。目をつぶってインストラクターの手の音と足の音、どっちが早いか実験してみるが(初めての経験)集中しないと危険。1塁手の足と捕球、走者の足と3つを目で判断するよりも、目で2つ、耳で1つ担当する。言われてみれば合理的である。が、即実戦で使えるか、となると慣れは必要だろう。

フォーメーションは、2,3,4人制全て、誰がどこを(外野の飛球、塁上でのタッグプレー等、特に走者がいる時)担当するのか明確に示すこと。その方法とバリエーション。例えば4人制で、走者が一塁、打者がレフト方面に大きな飛球を打った場合、3塁塁審が「ゴーイングアウト」「ゴーアウト」と言って打球を追う、3塁が空くので球審がカバー、時計方向に動くものを、‘ローテーション'。同じケースで、2塁の塁審が3塁を、1塁の塁審が2塁と1塁をカバーする場合を‘スライド’。これをボイスとアイコンタクトで使い分けなければならないので、気心の知れた仲間でないとトラブルになる心配がある。

ところで、大リーグの6人制の時、線審が塁審のすぐ後ろにいることに疑問を持った人はいませんか。線審の最も重要な仕事は、ポールの右か左か、ホームランかファールかを判定する事でしょう、と聞いてみたら、ポールを巻くような打球は時々しか飛ばないし、ご存知の通り大リーグの球場はフェンスが低く、打球をファンが身を乗り出して捕ろうとします。それを確認するために1,3塁の塁審が持ち場を大きく離れる場合があります、そんな時線審が1,3塁をカバーするためだそうです(日本でも真似をしているところがありますが、ちょっと事情が違う気がする)。

1日目は3時間の講義で終了。

2日目、7時半食事、9時から1時間半、ビデオを使いボークか否かetcの講義。グランドで、球審、塁審、フォーメーションの実技。20人が審判、野手、走者それぞれを担当、中味は濃いが疲れる実技。夕食後、大リーグの試合のビデオ(実例集)を見ながらフォーメーションのおさらい。2時間半の講義。

3日目、7時半食事。9時から走塁、守備妨害、ボーク、ハースイング等の多彩なプレーの講義。午後グランドでその実技。16時終了。

よくされる質問で窮するものを2つ、JEUSでは、の条件つきで。
★ハースイング、バットがホームベースの前面のラインを越えたら、身体と腕が離れていたら(両肘を胸に付けたまま打ちには行かない)→スイング。
★外野のフェンスの上に乗って打球を待ち、ジャンプして捕球したがスタンドに落ちた(倒れ込んだ)→アウト。ボールデッドで走者に1つの塁を与える。この場合、各連盟、団体で解釈の違いが見えた。

我々生徒の質問に、的確かつ明瞭に答えてくれた3講師が1つだけ答えられなかった私からの質問がある。私のHPのトップページの野球場の2塁ベースの位置をよく見て下さい。本、1,3塁のベースはラインが交差している点の内側に収まっているのに、2塁は点がベースの中央にあります。これを聞いたら、3氏とも「聞いたことはありますが忘れました」ということでした。ただなんとなくではなくて、はっきりとした理由はあるそうです。ご存じの方がいたら教えて下さい。

2泊3日の講義と実技でしたが、カルチャーショックを受けた内容でした。時代は進んでいる。平林君の夢は日本にも審判学校を作ることだそうです、是非実現を。

もうひとつ大きな収穫がありました。審判には全く関係ないのですが、以前からニュース映像で見る、ラクロスという競技で使われているボールorパックはどんなものなんだろう、非常に興味を持っていて、以前渋谷で女子大生に「ボールを見せてくれませんか」と聞いたら、変なオヤジと思われたのか、シカトされたことがある。球場の隣のグランドで練習していたチームがあったのでお願いしたら快く見せてもらえた。それは硬いゴムで出来たテニスボールぐらいの大きさのもので、早いパスでも当たったら間違いなくアザが出来る代物。女子大生さん(可愛い人だけ)気を付けてね。





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